DT-Windowsを用いた、医学教育用推論エンジンの作成方法について
Making Inference Engine for Medical Edication using DT-Windows


岡田好一、大櫛陽一、今泉幸雄*
Yoshikazu OKADA, Youichi OGUSHI, Yukio IMAIZUMI*

東海大学医学部医学情報学
Department of Medical Informatics, School of Medicine, TOKAI University

サンド薬品株式会社*
SANDOZ Pharmaceutical Limited*


[要約]
 医学教育に適した、推論エンジンをDT-Windowsを用いて作成した。分かりやす い知識ベースと推論エンジン、GUIを用いた。

キーワード : DT-Windows、GUI、知識ベース、推論エンジン、医学教育

Abstruct:
An inference engine for medical education using DT-Windows has been made and tested. It have easy-to-make knowledge base, easy-to-explain ingerence engine and friendry GUI interface.

Keyword : medical education, DT-Windows, inference engine, knowledge base, GUI


1、はじめに
 医学教育に適した推論エンジンを数年前から作成し、授業で用いてきたが、最 近、GUIインターフェースが容易に作成できるようになったので、インターフェー スの改良とともに、内容の見直しを行った。GUIの技術的背景について、概説する。

2、材料
 用いたソフトウェアは、DT-Windows(日本ダイナシステム株式会社)、Windows 3.1である。  ハードウェアは、NEC 9821、Compaq Presario 520 CDSで動作確認している。

3、方法

3.1、知識ベースと推論エンジン
 前向き推論と、後ろ向き推論の評価値として、ベイズ(bayes)の定理を利用する。 知識ベースには、疾患の事前確率と症状の尤度比を入力する。 推論エンジンは、まず症状の入力により、前向き推論を開始し、症状の寄与の 高い疾患、ベスト20を表示する。ここで選択された疾患の集合に対し、後ろ向き 推論を開始する。寄与の高い症状を20選び、表示する。利用者の選択により、ふ たたび前向き推論を開始する。このサイクルを繰り返す。

3.2、プログラミング
 GUIの可能なM言語の一つである、DT-Windowsを用いる。GUIとのインターフェー スは、write命令によるエスケープシーケンスの発行となる。C言語と同じく、メ ッセージループを用いる。 画面の階層は、上位の階層の画面をアイコン化するとともに、下位の画面のル ーチンを呼び出し、そこで新たなウィンドウを開く事とした。 従来の文字ベースのインターフェースをそのまま移行することはできず、入力 に際して、若干の変更を行った。

4、結果
 DT-Windowsにより、M言語の範囲内でGUIを付加することができる。パフォーマ ンスも、十分であった。プログラムの行数は倍になる。

5、考察
 DT-Windowsは国際規格ではないが、M言語の範囲内で、GUIを付加することがで きる。プログラミング方法は、Cのプログラムに類似しており、ウィンドウマネー ジャからのメッセージを陽に受け取り、解析して適切なルーチンを実行する。た だし、メニューなどで、C言語よりも高レベルのプログラミングができるので、生 産性は高くなる。 DT-Windowsは、M言語のGUIの中では、比較的低レベルのプログラミングが可能 なシステムであるが、今回の経験では、プログラムの行数は、約2倍にとどまった。

6、結論
 DT-Windowsは、比較的低レベルなプログラミングが可能であり、かつ、GUI部分 だけを比較しても、C言語より生産性が高いと思われる。