DTM、Visual Basic、OS/2を用いた、
データベースサーバー・クライアントシステムの試み


Client / Server System of DT-MAX and Visual Basic on OS/2

岡田好一
Yoshikazu OKADA

東海大学医学部医学情報学
Department of Medical Informatics,
School of Medicine, TOKAI University


[要約]
 複数のGUIクライアントからアクセスできるデータベース・サーバーシステ ムを試作した。現在の32bitパソコンオペレーティングシステムにより、特別 なハードウェア・ソフトウェアなしで製作可能であった。

キーワード : DTM、OS/2、Visual Basic、client-server、GUI

Abstruct:
 A database server system for multiple GUI client has made and tested. Personal 32bit operating system and popular microcomputer are suitable to make this system. Keyword : DTM, OS/2, Visual Basic, client-server, GUI

1、はじめに

 OS/2などの32bitマルチタスクシステムでは、プロセス間通信機能を用いて、 プログラムが互いに連携して並行動作することができる。
ここでは、OS/2の名前付きパイプと呼ばれるプロセス間通信機能を利用して、 DOSのプログラムであるDTM(DataTree MUMPS)と、複数のWindowsセッションで 動作するVisual Basicの参照プログラムを並行動作させ、プログラム連携の効 果を検討した。

2、材料
 用いたソフトウェアは、DT-MAX(日本ダイナシステム株式会社)のシングルユ ーザー版、OS/2 Warp with WIN-OS/2 V3.0 日本語版、Visual Basic 2.0日本語 版である。OS/2のプログラミングには、GNU C/C++の一種である、emx 0.9aを 用いた。
 ハードウェアは、IBM PC 720、Compaq Presario 520 CDSで動作確認している。

3、方法
 Cで書かれたOS/2のプログラムは、DT-MAXとの通信、およびVisual Basic との通信のために「双方向名前付きパイプ」を作成する。
 DT-MAXは、DOSのファイルをオープンするのと同じ方法で、パイプに接続可 能であった。つまり、DT-MAXはデータベースサーバーとして動作するのである が、DT-MAXからみると、読み取ったファイルの内容に応じてファイルに結果を 書き込む、といったルーチンを動作させておく。
 Visual Basicでは、検索の命令を受けると、名前付きパイプをオープンし、 検索文字列を書き込み、結果の応答を待ち、その内容を表示する。
 Visual Basicのために用意している双方向名前付きパイプは、5本で、多数 のVisuzl BasicのプログラムからDT-MAXのデータベースに同時アクセスでき る。

 今回は、Visual Basicのプログラムは、検索のみで、データベースに書き込 むことはない。そのため、DT-MAXからみた通信経路は、1本とした。

4、結果
 OS/2のPM(Presentation Manager)というGUI画面で、複数のVisual Basic のプログラムを動かし、DT-MAXのデータベースにアクセスすることができた。

5、考察
 OS/2の双方向名前付きパイプを用いた、DOSのプログラムであるDTMと、 WindowsのプログラムであるVisual Basicの接続は、速度や操作性という点で は満足な結果をもたらした。
 プログラムは簡単なもので、現在、障害時の対策は行われていない。
 OS/2では、Windowsはマルチタスクのプロセスの一つなので、障害があって も、OSを停止させずに切り放しが可能であり、OS/2のプログラムの工夫により、 データの整合性を保つシステムを構築できるであろう。

6、結論
 同じ目的のシステムは、将来も含めれば、さまざまな方法で実現可能であろ う。
 しかし、現在の状況でも、32bitマルチタスクのオペレーティングシステムを 利用すると、安価なパソコンで、GUIを用い、ネットワーク対応のデータベース サーバーシステムができる。