WAN環境でのDTMによる業務システムの構築事例
広瀬清司
サン電子株式会社 経営戦略サービス室
本事例はサン電子株式会社が、ネットワークOSとして、米国BANYAN社の
VINESを利用したパソコンWAN上でのDTM活用について述べています。
以下に、その背景、手段、結果、考察、及び将来構想を記します。
1.背景
サン電子株式会社では、従来のオフコンによる基幹業務処理を、DTMを核にしたパソ
コンネットワーク上に再構築する必要に迫られています。また、弊社業務分担として、
生産工程を担当する部門が子会社の形態をとっており、地理的にも30Km程度離れた
場所に位置しています。また、国内に5営業所、海外に3拠点が存在しています。
これらの営業所、拠点をWAN(WIDE AREA NETWORK)で接続し、
業務処理を遂行していく必要がありました。
2.手段
今回のケースでは、プラットフォームとして”パソコンのみ”を前提としたことから、
パソコン用のネットワークOSの検討をしました。検討した製品は、Netware
とVINESでした。WANに対する実績(1サーバーあたり35ユーザー以上の
ネットワークで26%のシェア:1992年 Dataquest社)を重視し
VINESを選択し導入を行いました。
3.結果
以下のような内容が確認されています。
(1)DTM動作環境
VINESのNetbiosエミュレーション機能にてDTMが動作可能です。
(2)DTM動作速度
WAN回線:ISDN 64Kbps(専用線)利用時に、20〜25Kbpsの
実質転送速度を確認しています。
(3)経路制御が不要
VINESでのWANでは、サーバー自身がルーティングを行うために、ルータは
必要ありません。そのために、WANでのプロトコルの伝送経路制御が必要ありま
せん。
4.考察
VINESを利用した時のメリットとして次の点が挙げられます。
(1)ルータが不要
(2)VINES自身が、電子メールエンジンを持っている
(3)最大15HOP(15サーバ)間を横断できる
また、Netwareとの比較では次の事が確認されています。
Netwareでは、ネットワーク番号、フレームタイプ等をネットワーク全体で
決めておく必要があり、これらの設定をクライアントレベルまで正確に設定する
ことが必要になり、非常に困難な作業を伴います。
VINESではこのような設定はいっさいありませんので、DTMでの業務システム
開発に専念することが可能です。
5.将来構成
将来的には、弊社の全営業所、全拠点をVINESのWANで接続し、全業務システ
ム(生産管理、販売管理、経理会計、人事管理、等)の稼働を目指します。
また、VINESの電子メールエンジンを活用して、DTMでの業務処理システム
から、Internet経由での部材調達、部材組み付け等の発注業務を構築する
計画です。
構成図